珍客万来

ラーメン屋で働いていると色々な人が来る。
仕事帰りの会社員、学生、近くの飲み屋の従業員。
酔っ払い、深夜なのに子連れの家族。
喧嘩しながらも大盛りラーメンをたいらげるカップル。
注文をとりながら人間観察をするのもなかなか面白い。

で、先日の珍客。

一見すると、普通のサラリーマン。
だが、11月なのに印象的な日焼け顔。
何よりカバンが”BURTON”

う~ん、明らかに何かがおかしい

店も割と暇だった事を良いことに、注文を聞きがてらボソっと一言。
俺:「お客さん、ボードやるんすか?」

ニヤっと笑って返事の一言。
客:「(シーズン)始まったねぇ…」

このやり取りだけで、お互いを分かり合うには十分。
だが、ヤツ(既に客に非ず)の一言でバトルスタート。

「この前、行って来たよ。人工雪だったけどねぇ…」

裏に”お先にシーズンインしちゃいましたよ♪”的なニュアンスがぷんぷん。
俺、痛恨の一撃。150ポイント近いダメージ。

ヤツ、満面の笑み。更に調子に乗って 「お兄さん、ホーム(ゲレンデ)何処?俺は長野を中心に…」
と、喋れるのが嬉しいんだろう。聞いてもいない事を語りだす。

が、俺の一言で形勢逆転。

俺:「強いて言うなら、富良野っすかね。去年は栂池に籠もってましたが…」
ヤツに会心の一撃。300ポイントの倍返し

ヤツ:「…富良野って言っても遠いし、何回も行けないよねぇ・・・。」
俺:「いや、住んでたんですよ。田舎みたいなもんなんですよね。12月も行きますよ」

この一言でヤツの急所を毒針で一突き。
曰く、北海道でBCをやるのに大きな憧れを持っていたらしく。
それなのに、舐めてかかってた目の前のラーメン屋の店員がまだ見ぬ憧れの粉雪を食っていたのがエライショックの模様。
加えて、籠もっていただと?フリーターの特権を最大限に活かしやがって…という感じ。

この試合、俺のTKOと思いきや、思いがけないヤツの反撃。

ヤツ:「○○(型番、忘れた)買っても人工雪じゃ意味ないよね…」
俺:「スイマセン、あんまり板の種類とか詳しくないんですよ」
ヤツ「K2ってメーカーのパウダーボードなんだけどさ…」

トドメを刺されつつもメガンテですか?
そりゃアンタ、宝の持ち腐れもいいとこだよ。
富良野にもってってやるから貸してくれよ!
さらにウェアは毎年買い換えてます♪とかさらっと言うんじゃねーよ。
このブルジョア!!!
タンスの肥やしになってるならそのギアくれよ。
欲しがってるヤツなんていくらでもいるんだよ!!!

で、この数分の試合は「引き分け」といった所で落ち着く結果に。

ヤツは美味そうにラーメンを食い、思いがけないスノボトークに満足していた様子。
会計時に「機会があったら、一緒に北海道に行きたいですね」と、笑顔で一言残して帰って行った。
スーツ姿にBURTONのリュックというちょっと頭のオカシイ格好で…。

今年も皆様の無事故と大雪をお祈り申し上げます。
ボ!

そして、

「毎度、おおきに!!!またお願いします!!!」

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