ゲイシャはパナマ産が世界的に有名ですが、そのルーツは1930年代にエチオピア西南部ゲシャ地域で採取された在来系統にあります。エチオピアに根付く品種の中でも特に独自の個性を持ち、“原点に近い存在”として特別な評価を受けています。
産地と豆の特徴
- 起源:エチオピア・ゲシャ地区
- 風味傾向:華やかでフローラル、柑橘系の明るい酸味、紅茶を思わせる透明感。
- 個性:一般的なモカよりも繊細で、香りの奥行きが強い。
精製方法による違い
- ナチュラル
- ベリーやトロピカルフルーツを思わせる濃厚な果実感と甘み。
- 個性が際立ちやすく香りが強いため、基本的にはシングルの方が扱いやすい。
- ウォッシュド
- クリーンで軽やか、ジャスミンや柑橘の香り。
- 酸味の透明感が強調され、ブレンドにもなじみやすい。
焙煎度による味わいの変化
- 浅煎り:華やかなフローラル香、ジャスミン・シトラス系の酸味。ゲイシャらしさが最も表れる。
- 中煎り:酸味が落ち着き、紅茶のような優雅さとバランスが出やすい。
- 深煎り:フローラル感は弱まるが、チョコレートやダークフルーツのような甘苦さが前面に出る。飲みごたえのある一杯に。
ブレンドにおける役割
- 香りのトップノート要員:少量でも華やかさを演出できる。
- 軽やかさの補強:マンデリンやブラジルなど重厚系と合わせると全体が引き締まる。
- 注意点:個性が強いため、メインより“アクセント”としての使い方が一般的。
まとめメモ
エチオピア・ゲイシャは「華やかな香り」と「紅茶的な透明感」が最大の魅力。ナチュラルはフルーツ感、ウォッシュドはクリーンさとエレガンス、と覚えておくと使い分けやすい。浅〜中煎りで個性が際立ち一般的にはこの焙煎度が主流。一方で、敢えて深煎りにすることでチョコレートやドライフルーツのような甘苦さと重厚感が楽しめる。シングルでもブレンドでも“贅沢な一手”となる豆。
なお、黒猫ブレンドではゲイシャナチュラルを60%使い深煎りにしています。
正攻法とは異なりますが、香りと甘苦さにフォーカスして一般論とは異なるアプローチで「昭和喫茶文化」の再構築を試みたブレンドコーヒーを作りました。

